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トランスジェンダーとスポーツについてです。この問題も誤解が多く、不確かな情報が広がっています。



以下の論文を参考にしてください。

エッセイ 
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スポーツとトランスジェンダー −排除の語りを見抜き、21世紀型のスポーツを展望するために− 來田享子

2023.06.27 Tue

2023年6月23日、「LGBT理解増進法」が施行された。これを報じたインターネット上の記事につけられたコメントには、スポーツに焦点をあてた内容が散見される。中には、近年のスポーツ界の動向に関する十分な知識がないために、誤解が生じているのではないかと思われるものもある。

そこで、この記事では、トランスジェンダーの人権とスポーツの公平性のバランスをめぐるスポーツ界の現状を紹介する。トランス女性選手を不公平な存在、危険な存在とみなす語りにどのような誤解があるかを考えるとともに、人権を尊重し、拡大させる21世紀型のスポーツについて考えたい。

(1)スポーツ界の現状:スポーツの公平性にどの程度重きを置くのか、という議論
近年のスポーツ界では、多くの組織が定款や規程にLGBTQ+の人権を尊重し、差別を容認しないことを明記している。オリンピックでは、2014年のオリンピック憲章に性別や性的指向にもとづく差別を認めないことが記された。
この記事の<参考資料>に付したとおり、2000年を境に、オリンピックでは性の多様性にスポーツの参加資格をどのように適合させるか、という議論が進められてきた。実際のところ、男女別カテゴリーで競うという制度を維持する限り、性の多様性に完全に適合することは難しい。個人的には、競技のカテゴリーを「女」「男」という性別の名称を冠した制度のまま突き進むことの限界が見えはじめているようにも思われる。

現在、競技を統括する国際競技団体(IF)は、それぞれの競技に見合った参加資格を検討し、いくつかの競技では暫定的な結論が公表されている。ただし、統括する競技において声をあげるトランスジェンダー選手が実際に出てくるまでは、残念ながら存在を不可視化し、静観を続けるIFもあるかもしれない。
現状の直接的な契機は、2021年にIOCが「公平で性自認や身体の性の多様性にもとづく排除や差別を容認しないIOCの枠組み(以下、最新フレームワーク)」を公表したことであった。

最新フレームワークの主旨は、トランスジェンダーや身体の性の多様性に対応する参加基準の設定を国際競技団体に委ねるというものであるが、その際に守られるべき原則として、10項目が示された。以下にその概略を示しておこう。
なお、全文は日本オリンピック委員会(JOC)のホームページに日本語訳とともに公開されている。(https://www.joc.or.jp/olympism/document/)
① 排除がないこと
② 選手の身体的・心理的・精神的なウェルビーイングを優先する
③ 差別を容認しない
④ 不公平で不均衡な競技上の優位性がないという確証を提示し、選手の身体的な安全を守る
⑤ 身体的外見やトランスジェンダーであることを理由に不公平な優位性があるとするような推定をせず、根拠のない排他的理由にもとづく排除を行わない
⑥ (特定の選手を排除する場合には)不公平で不均衡な優位性が「一貫して」存在することや他の選手の身体的な安全に対するリスクが避けられないことが示されること
⑦ 参加基準を満たすための医療科的介入や侵襲的な検査の強制がないこと
⑧ 参加基準の設定や見直し、評価、改正では、公正性・公平性が確保され、不利益を受ける可能性のある選手も交えた協議の仕組みを整備する
⑨ 参加基準に関する意思決定過程の透明性を確保しながら、選手のプライバシーは守る
⑩ 参加基準は、倫理、人権、法律、科学、医学の進歩を反映するよう、定期的に見直す
  この最新フレームワークでは、スポーツをスポーツとして成り立たせるための競技の公平性は重視されているものの、より重きを人権の保護・尊重に置いていることが読みとれる。


(2)国際競技団体の動向
この1年ほどの間に、いくつかのIF独自のトランスジェンダーの参加基準が公表されている。そのうち世界陸連、世界水連、国際ラグビーリーグは、国際競技大会へのトランス女性選手の出場を認めないとする方針を示している。留意すべきは、いずれも国際的なトップレベルの競技に限定したものだということである。国内外のすべての競技会で同様の方針をとるべきだとしているわけではない。さらに、現時点で科学的な根拠が不足しているための暫定的なルールであり、今後、見直される可能性があるとしているとしている

スポーツ界では、「女子競技の公平性」を理由にこの決定事例を歓迎する声がある一方で、IOCの最新フレームワークに示された「根拠のない排除」にあたるとし、世界スポーツ医学連盟の関係者をはじめとする多方面からの批判の声もあがっている。賛否両論がある中で、誰もが認めざるを得ないのは、「トランス女性選手は身体的にどの程度優位なのか」を判断するための科学的根拠がスポーツ界には蓄積されていない、ということである。

上述の3つの競技団体が公表したルールにも、それは示されている。「集団でみた場合の男性が女性に比して競技力において優位性がある」「コンタクトスポーツでは、思春期を男性として過ごした選手がそうではない選手に与える危険性が高い」とされてきた過去を踏まえた「暫定的」なルールであり、科学的な根拠の蓄積により変更することが記されている。

一方、公平でインクルーシブな基準を求めて議論を続けている競技団体もある。たとえば世界トライアスロン連合は、トランスジェンダー当事者も交えた検討委員会を設置し、他のIFへのヒアリング、医学的調査、法的調査を行いながら、血清中テストステロン値の上限を見極めた参加条件を一旦は設定しようとした。テストステロンは男性ホルモンの一種であり、主に筋量に大きな影響を与えるとされる。しかし、テストステロンのみが競技における優位性を確定する要素とはいえないことが最新の研究で示されるようになったこともあり、議論は継続されている。周知のとおり、トライアスロンは陸上競技・水泳の長距離レースと自転車競技が融合する競技である。そのトライアスロンのIFが、世界陸連や世界水連とは一線を画した方針づくりを試みている点には、注目する必要があるだろう。世界トライアスロン連合では、意思決定機関の役員としてLGBTQ+当事者も選出されており、EDI(Equity, Diversity and Inclusion Commission)という名称の委員会も設置されている。競技の性格が類似している場合でも、意思決定機関の多様性に関する理解の度合いによって、何を公平だと考えるかには違いが生じることが示されているといえるだろう。

(3)インクルーシブな参加資格を工夫したUSAフェンシングの例
日頃から性の区別なく練習をする慣例のあるスポーツでは、そもそも、性別に競う必要があるのか、という意見もみられる。そのひとつがフェンシングである。フェンシングではIFの参加基準とは別に国内競技団体(NF)が独自の国内での方針を公表する例がみられるようになっている。たとえば、米国のフェンシング連盟(USA Fencing)は「USAフェンシング トランスジェンダー・ノンバイナリー・アスリートポリシー」を公表した。このポリシーの冒頭には、以下のように記されている。
USAフェンシングには男子と女子の2つの部門があり、各部門への参加を決定するために性別の二元論を使用することがデフォルトとなっています。

しかし、すべての個人のジェンダー・アイデンティティが二元的であるわけではなく、性別の二元性をデフォルトとした参加は、一部の個人が排除され、安全でないと感じるという弊害が引き 起こされる可能性があることを私たちは認識しています。USAフェンシングは各部門において、出生時に割り当てられた性別にかかわらず、性自認やその他の性別表現に基づく差別を行いません。そのため、選手は以下のガイドラインに従い、出生時に割り当てられた性別に関わらず、USAフェンシングが公認する大会に性自認/性表現に沿った形で参加することが認められます。

方針の柱がこのように示された上で、14歳以下のユースカテゴリー、ジュニア・シニア・ベテラン選手のカテゴリーに大別し、トランス男性選手、トランス女性選手、ノンバイナリー選手のそれぞれの参加資格が定められている。注目すべき第一の点は、ユースカテゴリーでは一切の制限がなく、性自認にもとづく出場が認められていることである。第二は、テストステロンの上限値などは設けられていないことである。第三は、ノンバイナリー選手の参加資格が明記されていることである。ノンバイナリー選手は「登録時に自認する性別」で参加することが認められ、出生時に割り当てられた性別とは異なる性別での出場を希望する場合には、トランス男性選手またはトランス女性選手に関する参加条件に従うとされている。
競技の性格によっては、「デフォルト」が20世紀初期からのスポーツの慣例に従う男女別競技であったとしても、ほぼ排除のない形での参加資格の設定が可能であることを示してくれる事例である。

(4)トランスジェンダーの参加資格をめぐるスポーツ界の動向はどのように捉えることができるのか−20世紀型スポーツから21世紀型スポーツの誕生へ
 ここまで、トランスジェンダー選手の参加資格をめぐるスポーツ界の現状を概観してきた。この概観からいえることは、トランスジェンダー選手、とりわけトランス女性選手の存在を否定し、排除するという考え方は、男女別競技という制度を維持しているスポーツにおいてさえ、20世紀の遺物になろうとしている、ということである。
確かにいくつかのIFでは、国際競技における出場を制約するなどの動向はみられる。その動向においても、「暫定的な決定」とされた参加を制約するルールの妥当性や合理性は、科学的根拠の蓄積とともに問われることになる。議論を続ける最中にも、大会開催スケジュールを止めることはできないという時間的制約の中で、一旦、思考停止し、20世紀型の制度を維持することを選択した競技がある、と理解すべきだろう。

そもそもスポーツは、「何が公平か」について、当該競技を愛好する関係者が協議し、「公平らしくみえる」落としどころをルールとして定めることで成り立ってきた。スポーツの歴史的発展をこのように捉えれば、どの競技にファンやスポンサーが親しみを持つかを知る手がかりのひとつとして、21世紀の人権保障に取り組む競技なのか、20世紀の人権保障に留まっている競技なのか、という視点が必要になってくるかもしれない。

(5)トランス女性選手を不公平な存在とみなす語りの誤りを見抜く
 この記事の読者の多くは、ここまで紹介したような競技団体の参加資格の決定に直接的に参画する機会には出会わないかもしれない。しかし、日本にはすべての国民にスポーツの権利を認めるとしたスポーツ基本法があり、これにもとづく基本計画によってスポーツの振興には税が投じられている。スポーツは、強制されることのない、私的な活動ではあるが、一定の公益性もあるといえる。そのため、スポーツ界には、上述のファンやスポンサーとしての視点だけでなく、市民一般のモニタリングや意思表示が反映されることも必要である。そうした市民のひとりとして、私たちはどのようなことに留意すればよいだろうか。

スポーツ以外の分野でもいえることだが、性別の集団ごとの傾向がすべての個人にあてはまるわけではない。たとえば「男子に混じって女子が競技したら負ける」「女子に男子が混じったら不公平」という言葉はよく耳にする。性別カテゴリーという集団でとらえた傾向はそうかもしれない。だが個人や場に目を向けると、これらの言葉は「事実」ではないことに気づく。日本一を決定するための女子カテゴリーの短距離走では、男性の一般市民ランナーが参加しても勝つ可能性は低い。世界トップレベルの女子選手が町内運動会の男子競技で負ける可能性もまた、低い。

同様に、トランス女性であれば、すべてのシスジェンダー女性に優位するわけではない。そのことを示す事例は、すでにトップレベルのスポーツにおいても存在する。たとえば東京2020大会の出場に挑戦した米国の自転車競技BMXフリースタイルのトランス女性選手は、代表団補欠選手にランキングされたが、惜しくも補欠に留まり、出場は叶わなかった。
トランス男性選手はシスジェンダー男性選手には勝てないという思い込みを払拭してくれる選手も存在する。2016年のトライアスロン全米選手権では、アメリカ代表団入りを果たした初のトランス男性選手が誕生している。
「女子競技に参加するトランス女性は女性の権利を脅かす不公平な存在である」という語りは、一見、正しいようで、実際はスポーツをあまりにも単純化した理解だといわざるを得ない。<参考資料>に示したとおり、国際競技においても、トランス女性選手が誰でも無制限に参加してきたわけではない。その時々の制約を受けながら、ルールにもとづき、参加している。しかも、すべてのトランス女性選手に特定の優位性があるという考えの根拠は、いまのところ存在しない。
「同質的である」と認め合った集団内での競い合いの結果に、一定の意味が与えられるのがスポーツだという考えに立ちもどる必要がある。競い合いに適する集団を構成するルールになっているか、否か、が問われることがあったとしても、誰かが「不公平な存在」だとして尊厳を傷つけられることはあってはならない。

興味深いのは、こうした語りは、多くの場合、人権を保護されるべき少数者が「敗者」である間は語られず、勝利した時に登場し、高まることである。同じことは、身体に障害のある選手に対しても繰り返されてきた。パラリンピックの勝者の競技記録がオリンピックのそれと同等、あるいは超える可能性が見え始めたときに、障害のある選手は突如「不公平な存在」として語られるようになっていった。

どのようなレベルの、どのような大会であったとしても、トランスジェンダーの人権よりも競技の公平性が重視される事態は避けなければならない。もしそのような事態を当然だとして、トランスジェンダー選手を完全に排除したまま放置する競技団体があるならば、それは公益性の高いスポーツとしてのブランドを放棄した競技なのだと受け止める必要があるだろう。
男女別カテゴリーで競うというスポーツの制度は、トランスジェンダーを排除しようとする政治に利用されやすい。競技の公平性をめぐる語りだけでなく、スポーツ施設のトイレ、更衣室、合宿などで、トランス女性選手の参加を認めれば「『女性のふりをした人物』が性犯罪目的で忍び込む」という語りもまた、トランスジェンダーを排除する政治的な語りの例である。ある性犯罪者の性別が男性であったからといって、すべての男性を性犯罪者扱いすることの合理性のなさは、誰もが理解する。同様に、すべてのトランス女性選手を性犯罪者扱いすることは非合理的であり、トランスジェンダーのスポーツの参加の権利と性犯罪とは、切り離して対応を検討すべきである。

2016年のIOCによるトランスジェンダー選手の参加基準(<参考資料参照>)は、テストステロン値の上限を設けるなど、排除がまったくないというわけではないものであった。それでも、外科的手術を行わない/行えない選手の参加資格を認めたことには理由がある。スポーツ界の国際的な議論の中では、トランスジェンダーとして生きるという現実は「自認を表明しさえすれば性別を変えることができる」というような簡単なことではない、ということが理解されてきた。小さな一歩ずつではあっても、人権の拡大に向けて進んできたのだ。

日常の社会における性別は、ほぼ外観にもとづいて判断されてしまう。それゆえに、トランスジェンダーは、生まれたときに割り当てられた性別とは別の性別の外観を、長い、長い時間をかけて自分のものにし、家族や周囲の人々に違和感なく受け止められるよう努力し続けなければならない。人生におけるそのような努力の過酷さと、オリンピック選手が競技力向上のために続ける努力の過酷さは、比べ得るものではない。まして、後者がより重要だと考えるのは誤りだということをより広く伝えていく必要がある。

おわりに
国内でLGBT理解増進法が成立したことに関しては、最終の条文である第12条(措置の実施等に当たっての留意)に「全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意するものとする。」という記述が加えられた。この妥当性は採決前から問われている。国内のスポーツにおいては、問題となっている記述の前に「性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず」とあることこそを大切にして、政策が進められることを望みたい。スポーツ基本法には「スポーツは、これを通じて幸福で豊かな生活を営むことが人々の権利である」と記され、オリンピック憲章では「性別や性的指向にもとづく差別」が明確に禁止されているのだから。

なお、スポーツにおける女性の権利が主張されるのであれば、是非とも積極的に取り組むべき課題があることについても指摘しておきたい。スポーツ界で女性の役員、コーチ、審判、トレーナー等が活躍する環境が整っておらず、女性割合は依然として少ないこと、女性がリーダーシップを発揮できるまでには至っていないこと、子どもの体力が二極化している中でとりわけ中学校期以降の女子の運動へのアクセスの機会が減少していること、女性選手に対するセクシュアルハラスメントや暴力、性的視線での盗撮など、問題は山積している。

    來田亨子(中京大学)



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津田塾大、トランスジェンダーの学生を受け入れへ 25年4月から
津田塾大

津田塾大が、トランスジェンダーの受け入れを始めるようです。これでまた一歩前進だと思います。トランス女性は、女性です。またまたトランヘイターが騒いでいるようですが、以下の通り。


津田塾大、トランスジェンダーの学生を受け入れへ 25年4月から

6/28(水) 18:00配信  朝日新聞デジタル 

 津田塾大(東京都小平市)はこのほど、2025年4月の入学者から、戸籍などでは男性で、性自認が女性のトランスジェンダーの学生を学部、大学院で受け入れることを決めた。ホームページ(HP)で23日に公表した。
 
 ガイドラインや大学によると、受け入れに関しては、学内の教職員で構成する「トランスジェンダー学生対応委員会」が性自認の確認をする。入学後の学生生活で支障が発生しないよう志願者と面談をし、大学の情報も提供する。
 
 入学後の対応も委員会と学生が話し合い、関係部署などと協議して対応する。施設面では、相部屋となっている学生寮は入寮できない。本人の意に反して、セクシュアリティーを他者に公表する「アウティング」は、ハラスメント行為として対処する。
 
 当事者ではない学生を含めた相談窓口を明示し、在学生や教職員に対しては性的マイノリティーについて理解を深める取り組みをする。
 
 高橋裕子学長は今回の決定について「多様な女性のあり方を包摂していく過程で、周縁に置かれている様々な女性たちがエンパワーされ、自らの力量を信じて真摯(しんし)に前進していけるよう支援していく。それが、21世紀の女子大学のミッション」とするメッセージをHPで公表している。



こちらは、大学のホームページです。すごく説得力のある説明になっていると思います。

https://www.tsuda.ac.jp/news/2023/0623-02.html

2023/6/23
2025年度入試からのトランスジェンダー学生(性自認による女性)の受験資格について

HOME 2025年度入試からのトランスジェンダー学生(性自認による女性)の受験資格について

津田塾大学では、2025年度入試(2025年4月に入学する学生が受験する入試)より多様な女性のあり方を尊重することを基本方針とし、女子大学で学ぶことを希望するトランスジェンダー学生(性自認による女性)にすべての学部、大学院研究科にて受験資格を認めることといたしました。

この基本方針は、1900年から女性に高等教育の学びの場を提供してきた本学の伝統を継承する、「Tsuda Vision 2030」のモットー「変革を担う、女性であること」を推進することでもあり、同時に、多様な価値観の共生を目指す社会の構築に貢献することでもあります。本学は、多様な女性の学ぶ権利を守り、共に学ぶ環境を整えてまいります。

性に多様性があるということを社会全体でどのように理解を進めていけるのか。多様な女性のあり方を包摂していく過程で、周縁に置かれている様々な女性たちがエンパワーされ、自らの力量を信じて真摯に前進していけるよう支援していく。それが、21世紀の女子大学のミッションであると考えます。
                                津田塾大学 学長 髙橋 裕子





また以下のようなガイドラインも制定されています。


津田塾大学 トランスジェンダー学生受け入れのガイドライン
https://www.tsuda.ac.jp/news/2023/suqamb00000099xl-att/2025_guideline.pdf

1.趣旨
本学は 1900 年に日本初の私立の女子高等教育機関として創設され、学問への門戸が閉ざ
されてきた女性に学びの場を提供することで、社会の変革に大きく寄与しました。以来、数
多くの社会で活躍するオールラウンドな女性を育成し、世に送り出しています。
女子大学で学ぶことを希望する性別不合・トランスジェンダーの学生(性自認による女性)
を受け入れることは、多様な女性に学びの場を提供してきたという本学の伝統を受け継ぎ、
「Tsuda Vision 2030」のモットー「変革を担う、女性であること」を推進することでもあ
ります。同時に、多様な価値観の共生を目指す社会の構築に貢献することでもあります。本
学は、多様な女性の学ぶ権利を守り、共に学ぶ環境を整えていきます。

2. 定義
当ガイドラインにおいて用いる用語は次の通りとします。
(1)学生:学位取得を目的として、学部・研究科に在籍する者
(2)戸籍等:戸籍、特別永住者証明書、在留カードまたはパスポート
(3)自認する性別:戸籍等記載の性別に関わりなく、本人が自らの性として認識するもの

3.基本方針
多様な女性のあり方を認めること(=Diversity/Inclusion)を基本方針とし、戸籍等または
自認する性別が女性であり、女子大学で学びたい人を受け入れます。

4.トランスジェンダー学生受け入れの対象となる学部・研究科
すべての学部、大学院研究科の正規学生において受け入れ可能とします。

5.トランスジェンダー学生対応委員会の事前の相談について
受け入れにあたってはトランスジェンダー学生対応委員会を組織し、出願以降および入学
後に学生生活上の支障が発生しないように、要望に応じて当該志願者と面談を行い、本学の
情報提供を行います。また、出願資格の確認(出願申出書に基づく性自認が女性であること
の確認)を行います。入学後の学修、学生生活において対応が必要な場合、トランスジェン
ダー学生対応委員会と当該学生が話し合い、個人情報を厳重に守りながら関係する事務部
署、関係機関と連携・協議し対応します。

6.名前と性別の情報とその管理について
本人の申し出により「津田塾大学における学生の旧姓(旧氏)、通称名の取り扱いに関する
要項」に従い通称名を使用することができます。ただし、学外奨学金および保険申込など通
称名を使用できない場合があります。

「津田塾大学における学生の性別の取扱いに関する要項」に従い自認する性別を申し出る
ことができます。学生証、証明書等には性別を記載しません。ただし、教育職員免許状申請
書類、国等の機関の所管する制度等により戸籍等記載の性別を使用することとされているも
のなど、自認する性別を記載できない場合があります。

学籍情報は厳重に管理し、授業や学生生活において必要な場合は、本人の承諾により関係
する教職員と共有します。教職員は、その内容は決して口外せず、他に情報が漏れないよう
注意します。ただし、事故、急病等の緊急時に大学の判断により情報を提供することがあり
ます。

7.授業について
(1)健康余暇科学科目について
本学では健康余暇科学科目を開設しており、学芸学部の学生は「動きの教育」、「余
暇教育」を実技科目の必修としています。これらの科目の履修については入学時その他
の面談の際に相談をすることができます。事前に聞き取りを丁寧に行い、個別に対応し
ます。

(2)健康余暇科学科目(実技)の履修について(更衣)
本学の小平キャンパスの更衣室には、個人で利用できるスペースも用意しています。
また「多目的トイレ」が小平キャンパスの各校舎に設置され、着替えボード付きの個室
もありますので、必要な場合は利用することができます。

(3)授業での合宿
健康余暇科学科目の「ウェルネス研究(野外教育)」、セミナー等で合宿を行う場合、
部屋割りや入浴等については個別に対応します。学生の希望に応じて、個別対応の理由
等が周囲に知られないよう配慮します。

(4)学外実習(教育実習等)の履修
実習受け入れ先の体制や状況により必ずしも希望に添えない場合がありますが、学外
での実習において想定されるトイレ、更衣室、服装等に関して事前に相談に応じます。

(5)授業での呼称
「津田塾大学における学生の旧姓(旧氏)、通称名の取り扱いに関する要項」に従い手続
きを行い通称名の利用が承認された場合、授業その他での呼称は通称名となります。ま
た、自分が呼んでほしい代名詞へ変更することができます。

8.留学
本学には国際センターがあり、協定校をはじめとした各国の大学の情報を提供していま
す。協定校留学の場合、その大学の規程に従うことになりトランスジェンダー学生の受け入
れを認めていない(パスポートに記載された性別で女性に限る)場合があります。

9.学生生活について
(1)トイレ、更衣
多くのトイレは男性用、女性用に分かれていますが、男女の区別なく利用できる多目
的トイレが各校舎に設置されています。また小平、千駄ヶ谷両キャンパスの多目的トイ
レには着替え付きボードが設置されていますので、必要に応じて使用することができま
す。

(2)学生寮
本学では寮の一部居室を除き、相部屋となっています。入寮条件を満たしていても現
在は施設の制約上入寮はできません。

(3)健康診断
ウェルネス・センターに事前に申し出ることで個別対応は可能です。必要があれば、
入学時やその他の面談の際に相談することができます。性別情報は医療上の目的で必要
となります。

(4)課外活動
学内外での課外活動(サークル活動への参加)において心配なことがあれば学生生活
/千駄ヶ谷キャンパス事務室に相談できます。運動系の競技団体が開催する大会、競技
会において戸籍等の性別と自認する性別が異なる場合、参加が認められない場合があり
ます。


10.インターンシップへの参加、就職活動、キャリア支援について
インターンシップ参加にあたり、特別な対応や相談が必要な場合は学外学修センターまた
は学生生活課に、就職活動にあたり心配な点がある場合は学生生活課に相談することができ
ます。

11.性自認の表明と性のゆらぎへの対応
(1)カミングアウトについて
周囲に知られていない、あるいは知らせていない自身の性・性自認あるいは性的指向
について、人に知らせることを「カミングアウト」と言います。

1 当事者がカミングアウトを行う場合
カミングアウトをするかどうか、どの範囲の人まで知らせるのかは本人の判断に委ねま
す。

2 当事者からカミングアウトされた場合
カミングアウトを受けた人は精神的に動揺することがあります。そのような場合には、
ウェルネス・センターの学生相談を利用することができます。

(2)アウティングについて
カミングアウトしたこと自体やその内容を当事者の意に反して他者に公表することを
アウティングと言います。アウティングは当事者の尊厳を傷つけ、意識的、無意識の差
別により当事者への精神的苦痛を与え、場合によっては違法行為とされることがありま
す。アウティングは本学ではハラスメント行為として対処します。アウティングが発生
しないよう、学内での周知を図ります。

(3)性自認のゆらぎについて
性自認はゆらぐことがあり、それが当然と言われています。入学後、性自認や戸籍等
の性が変わってもそのことを理由に退学になることはありません。性自認のゆらぎや違
和感などで悩んだり、誰かと相談したいと思った場合には、ウェルネス・センターの学
生相談またはジェンダーに関する専門家への相談を利用することができます。

12.相談窓口
トランスジェンダー学生受け入れにあたり、当事者である学生、当事者以外の学生・教職
員等が相談できる相談窓口は次の通りです。

【在学生相談窓口】
トランスジェンダー学生自身および当事者以外の在学生のための相談窓口:学生生活課ま
たは千駄ヶ谷キャンパス事務室
学生が授業、課外活動その他学生生活全般において不安がある場合、学生生活課または
千駄ヶ谷キャンパス事務室がワンストップ窓口として対応します。なお、相談内容によ
っては、本人の了解を得た上で事情を他部署に伝え、他部署と連携し、サポートしま
す。

【ジェンダーの専門家による相談】
ジェンダーの専門家による相談窓口を設置し、定期的に相談をする機会を設けますので
教職員、学生は利用することができます。

13. インクルーシブなキャンパスのために
在学生、教職員対象に学生の入学時にオリエンテーションを実施し、継続的な学習の機
会を設けます。教職員においても入職時オリエンテーション、FD/SD 研修機会を通じて性
的マイノリティについて理解を深める取組を行い、インクルーシブなキャンパスづくりを
行います。また、性自認、性的指向に基づく差別の禁止・ハラスメントの防止、多様性に
対応した環境整備を進めます。大学における取り組みの例としては、小平キャンパスの更
衣室内に個別で更衣できるスペースを増設しました。また、「津田塾大学における学生の
旧姓(旧氏)、通称名の取り扱いに関する要項」、「津田塾大学における学生の性別の取
り扱いに関する要項」の制定により、自認する性別に基づく通称名の使用や性別変更がで
きるようになっています。今後も引き続き、次の取り組みを継続的に行います。

(1)在学生への啓発活動
入学時にオリエンテーションを実施します。その後も必要に応じて説明会や講演会を開
催するなど、継続的な学習の機会を設けます。

(2)教職員への啓発活動
入職時にオリエンテーションを行います。また、FD/SD 研修として複数回の講演会開催
など、継続的な学習の機会を設けます。

(3)開かれたキャンパスをめざして
学生、教職員を対象にアンケートの実施やヒアリングの機会を設けるなど学生や教職員
の声に耳を傾け、誰もが安心して過ごせるキャンパスつくりをめざします。
                                        以上


女子大が女子大でなくなるなどという人がいますが、「性に多様性があるということを社会全体でどのように理解を進めていけるのか。多様な女性のあり方を包摂していく過程で、周縁に置かれている様々な女性たちがエンパワーされ、自らの力量を信じて真摯に前進していけるよう支援していく。それが、21世紀の女子大学のミッションである」と津田塾大は考えているようです。



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LGBTQ権利擁護の大パレード、NYで観衆200万人 反LGBTの動きが強まる中で!




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25日、米ニューヨークで行われた性的少数者の権利を擁護するパレード=杉藤貴浩撮影

東京新聞の記事です。

LGBTQ権利擁護の大パレード、NYで観衆200万人「他人の価値観をコントロールしようとしないで」

2023年6月26日 21時48分
 【ニューヨーク=杉藤貴浩】米東部ニューヨークで25日、多様な性自認の尊重を呼びかけるパレードがあり、LGBTQなど性的少数者の権利擁護を唱える人々が多数参加した。米国ではLGBTQ教育や関連書籍を否定する動きが強まっており、参加者らは「他人の価値観をコントロールしようとするのはやめて」と危機感を示した。
 
 ニューヨークのパレードは全米最大規模。30度近い暑さの中、参加者は多様性を表す虹色の衣装や旗を身にまとい、紙吹雪が舞う目抜き通りを車やバイク、徒歩で進んだ。米メディアによると、7万5000人が行進し、約200万人の観衆が集まった。
 米国では2015年に連邦最高裁が同性婚の権利を認定。調査機関ピュー・リサーチ・センターの今年の世論調査では、同性婚への支持は63%と反対の34%を大きく上回る。ただ、保守派の一部の抵抗は根強く、南部などでは学校でのLGBTQ教育を禁じたり、関連書籍を図書館から排除する運動も広がっている。
 南部フロリダ州からパレードに駆けつけたテイラー・ドラムさん(17)は「誰もが表現の自由を持ち、好きな本を手にする権利がある」と訴えた。
 
 パレードは1969年6月にニューヨークのゲイバー「ストーンウォール・イン」に立ち入り捜査した警察に客らが反発した暴動を記念した恒例行事。24〜25日には、全米の主要都市でもパレードなどが行われた。


こういった動きに対して、この記事でもふれられてるように反LGBTの動きもアメリカでは、すさまじいものがあります。その記事も紹介します。同じく東京新聞の記事です。やはり宗教右派の動きは、注意すべきです。


「禁書」が広がるアメリカ…LGBTQや人種問題の書籍が標的に 主導する「自由を求める母たち」とは

2023年6月23日 06時00分   https://www.tokyo-np.co.jp/article_photo/list?article_id=258316&pid=1055186

 米国で学校図書館などから性的少数者(LGBTQ)や人種問題などに関する書籍を排除する「ブック・バン(禁書)」が広がっている。保守派の一部が子どもへのリベラルな価値観の浸透に抵抗しているためだ。表現の自由の制約に懸念が強まるが、来年の大統領選を目指す共和党トランプ前大統領やデサンティス・フロリダ州知事らは同調の動きを見せている。 (ニューヨーク・杉藤貴浩、写真も)

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6月、米ニューヨークで開かれた表現の自由の侵害に抵抗する企画展。一部の保守派が排除を求めるLGBTQや人種問題などに関する本が並ぶ=杉藤貴浩撮影

◆ノーベル賞作家の作品まで標的に
 ニューヨーク中心街の美術館「フォトグラフィスカ」の企画展で6月、禁書運動の標的となった書籍十数冊が並んでいた。性自認やLGBTQを題材としたノンフィクション、白人中心の価値観への違和感を描いたノーベル文学賞作家トニ・モリスンさんの「青い眼がほしい」などの名作だ。

 従来は学校や公共の図書館で読めるものばかりだったが、最近の禁書運動の広がりで各地の図書館などから撤去された。企画展は、こうした本を閲覧可能な状態で見学者に示し、表現や読書の自由への介入に抵抗するのが狙いだ。主催者の一人である日本出身の芸術家、馬渕詢じゅんさん(30)は「身近な読書の選択肢をなくすことは、貧困家庭を中心とした子どもの学びの機会を奪い、将来の格差拡大にもつながる」と懸念する。


◆保護者団体が教育委員会や図書館に圧力
 禁書の動きを主導するのは、保守勢力の強い南部フロリダ州などの保護者団体だ。その一つ「自由を求める母たち」は新型コロナウイルス禍の2021年に設立され、学校のマスク着用義務などに反対してきた。

 現在は「親と子にとって破壊的な政策と戦う」ことを掲げ、活動は全米45州に広がる。人権監視団体の報告では、
LGBTQや黒人奴隷の歴史などを教育現場に持ち込むことに抵抗しており、他の極右過激派とともに各地の教育委員会や図書館に圧力をかけている。禁書に懐疑的な図書館も、執拗しつような抗議や政治問題化への懸念から圧力に屈するケースもあるという。

 米図書館協会によると、22年は全米で1269件の書籍排除の要求があり、前年の1.7倍に上った。共和党優勢のテキサス州やフロリダ州、近年の大統領選では激戦となるペンシルベニア州が目立つ。


◆子どもを対象とした「ゲイと言うな」法が施行
 民主党のリベラルな価値観に対抗する禁書運動は、「大統領選勝利を狙う共和党の重要な政治的パートナー」(AP通信)としても存在感を増している。

6月、米ニューヨークの企画展で保守派による禁書の対象となった本を読む見学者ら。「ファシズムは小さな危機から始まる」と警戒する声も=杉藤貴浩撮影

6月、米ニューヨークの企画展で保守派による禁書の対象となった本を読む見学者ら。「ファシズムは小さな危機から始まる」と警戒する声も=杉藤貴浩撮影

 デサンティス氏のフロリダ州は昨年、公立学校で小学3年生以下にLGBTQ教育を行うのを禁止する通称「ゲイと言うな」法を施行した。今年4月には同氏の主導で対象を実質的に高校生まで広げることが決まり、禁書運動と足並みをそろえる。「自由を求める母たち」が6月末に開催する総会では、共和党の候補者指名を争うトランプ、デサンティス両氏がともに演説するという。

 表現の自由を擁護する非営利団体「ペン・アメリカ」のケイシー・ミーハン氏は「禁書問題は大統領選の争点にもなるだろう。国民の7割が禁書に反対だという世論調査もあるが、一部の声高な主張がどこまで選挙戦を左右するか見極める必要がある」と話した。



LGBT政策の先進国ノルウェーの動きです。やはり反LBTQの動きが最近強まっているようです。


性的少数者を批判する声がSNSで急増 ノルウェー調査

鐙麻樹北欧ジャーナリスト・写真家・ノルウェー国際報道協会役員
6/26(月) 7:46  https://news.yahoo.co.jp/byline/abumiasaki/20230626-00355236

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6月のプライド月間はノルウェーで性の多様性が祝われている。今年のプライドはノルウェーの人にとって、悲しく、重要な意味を持つ。

昨年、性的少数者を狙ったバー乱射で2人が死亡、23人が負傷した。事件が起きた6月25日は「25/6」と呼ばれている。

プライド月間中に性的少数者を狙った事件は、社会に大きな傷を残した。今年のプライド行進に「参加するのが怖い」という声もあり、警備にも不備があった現地警察への不信感も問題になっている。

SNSで攻撃する声が増えている「印象」は本当か、建設的な議論のために初の調査

テロ以降、性の多様性を巡るSNS投稿やメディア記事は増加し、同時に性的少数者に対するヘイトスピーチがネットで「増えている印象がある」という個人の声は増えていた。

ノルウェー・アムネスティ・インターナショナルと現地の「性の多様性とセクシュアリティを祝う団体FRI」は、その感覚が事実かを確かめるために、第三者機関に調査を開始し、結果が報告された。ノルウェーではクィア界隈がSNSでどのように発言されているかが調査されたのは今回が初めてだ。

2018-2022年のツイッターとフェイスブックを調査
2018年と比較して2022年はクィアに関する投稿がツイッターで7倍増加
2018年から2022年にかけてトランスジェンダーに対するツイート数は6457件から4万4620件と16倍となっている
ツイッター投稿の47%はトランスジェンダーに対して批判的な投稿、40%はサポートする内容を占める

トランスをサポートする声は2018年はツイッター上で55%に対し、2022年は35%と減少
トランスを批判する声はツイッター上では2018年は20%を占めていたのに対し、2022年は投稿の半数以上が批判的。過去5年間で中立的な意見は減少

全国向けにニュースを報じるメディアがプライドに関する投稿をすると、エンゲージメント率は他のテーマと比較して166%上がる

クィアに関する投稿をするメディアの四分の三はキリスト教関連の新聞社
プライドに対する批判的なツイッター投稿は2018年に16%だったが、2022年に27%
レポート全体からいえることは、性的少数者に対する言論はここ数年で過激で批判的になり、急増しているという、当事者が感じていた「印象」が証明されるものだった。

「悲しい内容」「暗い気持ちになるデータが出てきた」と、現地の報告会ではため息も聞こえた。
メディアも、プライドや性的少数者をテーマとすれば一時的にクリック数は上げることができる。だが、コメント欄がヘイトスピーチで生まれやすいこと、コメント欄がすぐに閉鎖されやすい現状も踏まえて、必要な投稿なのか、煽るタイトルになっていないかなどの注意がより必要とされる。

クィアに批判的な投稿をして注目を集めることに利用しているのは極右政党「進歩党」の特定の政治家、キリスト教民主党、キリスト教系新聞「Vart Land」であることは、ノルウェーで暮らす人々にとっては驚きではない。

これに対してはっきりと声をあげたのは、中道左派「労働党」のカムジーという愛称で呼ばれる国会議員だった。
性の多様性に批判的な人は、単に学びが必要なのか、それとも構造的に利益を享受している側なのか

「トランスではない人は、トランス当事者ではないからと議論に参加することにためらいがあるかもしれない。けれどそうであってはいけない。あなたの問題は私の問題。市民が政治により積極的に参加していく必要がある」

「私はいつもクィアに批判的な人は『バカ』か、『意地悪』なのか、どちらかを見極めようとしている。バカなら、教師や医療関係者などと話し学ぶ必要がある。問題は意地悪なほう。クィアを否定することで、構造的になんらかの利益を享受している人たちだ」

ノルウェーでアンチ・プライド組織の実態把握、警察学校にクィア背景がある人材が警察学校に入学申請をしているかどうかの実態把握など、今後できることが話し合われた。

ノルウェーでは右派も左派もジェンダー平等政策は同意している
統一地方選挙でオスロ議会のリーダー候補である労働党の代表(右)と保守党の代表(左) 筆者撮影
9月に統一地方選挙を控えるノルウェーでは、各政党のクィア政策も焦点にあがる。だが、この国ではそもそも極右やキリスト教民主党という政党を除くと、中道右派と中道右派ではクィア政策は最も違いがない分野だ。

つまり、キリスト教民主党などの意見はたまに耳を貸す必要もあるが、右派左派も主要政党間ではクィアやジェンダー平等においては意見が幅広く一致していて、違いを見つけることのほうが難しい。

次の選挙で勝つのがどちらであれ、「差別は許さない」という姿勢やプライド支持、性的少数者の人権を守るという意思は同じだ。

首都オスロで市議会の政治的権力を最も握ることになるリーダー候補の2人の議論でも、同意点が多すぎて、司会者が「もう一緒にオスロを率いればいいのでは」と突っ込んだくらいだ。つまり互いの政策を褒めあい、同意点が多すぎるので、議論らしくもない。もはや穏やかなトークショー。

この現象は地方レベルだけではなく国レベルでも同じで、右派左派の政策が最も同じ分野というのはジェンダー平等なのだ。筆者がノルウェーの素晴らしい特徴だと感じるひとつがまさにここでもある。

保守党が性の多様性に関して寛容であることは現地では熟知されているため、むしろ保守党が連立することの多い小政党「キリスト教民主党」と協働しながらも、特定の宗教コミュニティはなんとかできないものかと会場からは声があがった。
数日後にはプライド行進が開催される。多くの人の参加が望まれているが、昨年のテロと過激化するSNS環境が原因で「参加が怖い」という声も目立つ。今、ノルウェーのプライド、特に首都オスロのプライドは苦境に直面している。

調査結果を聞いていて感じたのは、「サポートするが当事者ではないから」と沈黙するのではなく、過激な言論が急増し、怖がる人が増えているからこそ、サポートするならそうであると声を可視化させる重要性だった。

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是枝裕和監督の最新作『怪物』観ました! 子どものころを思い出した💛
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「怪物だれだ」、声枝監督の最新作『怪物』観に行ってきました。


こちら、予告編です。
https://www.youtube.com/watch?v=C0Ie1433I5c

『万引き家族』などの是枝裕和が監督を務め、脚本を『花束みたいな恋をした』などの坂元裕二、音楽を坂本龍一が担当したサスペンス。けんかをした子供たちの食い違う主張をきっかけに、社会やメディアを巻き込む騒動が起こる。『万引き家族』などの安藤サクラや『友罪』などの永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、田中裕子などが出演する。

息子を愛するシングルマザーや生徒思いの教師、元気な子供たちなどが暮らす、大きな湖のある郊外の町。どこにでもあるような子供同士のけんかが、互いの主張の食い違いから周囲を巻き込み、メディアで取り上げられる。そしてある嵐の朝、子供たちが突然姿を消してしまう。




こどもたち2人がとてもかわいかった。自分と少し重ねてしまいました。いじめられたことはなかったけど、「男らしさ」ってことにやはり悩んでいたと思います。やはり女みたいっていわれるのは、すごく嫌なことでした。大人たちは、「男は男らしく」ってみんな言ってました。そして私もそれに合わせようと無理してたと思います。
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こちら成立した後退した差別法じゃなのかと批判される「LGBT理解増進法」との関連でこの映画について書かれた記事です。



「LGBT理解増進法」の罪と共振するクィア映画『怪物』
6/20(火) 21:50配信 ニューズウィーク日本版
https://news.yahoo.co.jp/articles/67b3ccd151870a5cd917a24018db10df432a559f?page=1

<マイノリティではなく「マジョリティへの理解」を求める悪法がLGBTにとって意味する世界を描く>
是枝裕和監督『怪物』より (c)2023「怪物」製作委員会

*若干のネタバレあり
是枝裕和監督の最新作『怪物』が現在、全国の映画館で上映されている。この映画はカンヌ国際映画祭に出品され、脚本賞とクィア・パルム賞の二冠を受賞した。6月16日に成立したLGBT理解増進法が、当初の内容を大きく後退させ、これでは反LGBT法だという当事者の声もあがる中、マジョリティの無知がもたらす残酷さを描いたこの作品は、我々にこれでよいのかというメッセージを突きつけている。【藤崎剛人(ブロガー、ドイツ思想史)】


クィア映画としての『怪物』
『怪物』は、LGBTやクィアといった性的少数者を扱ったクィア・パルム賞を受賞しているにも拘らず、公式でクィア映画であることをはっきり打ち出していないことに批判がある。

確かにこの脚本のギミック上、公開前にクィアというキーワードを隠したかったのは理解できる。しかし少なくとも映画が公開されて以降は、クィアというテーマを全面に打ち出したほうがよいだろう。もしアメリカやヨーロッパでこの作品がつくられていたなら、監督も脚本家もはっきり「これはクィア映画だ」と述べていたはずだ。

『怪物』では、クィア当事者が過酷な状況に置かれる。とはいっても、この映画では性的少数者を露骨に差別し攻撃する人物は、一人しか出てこない。むしろほとんどの登場人物は一般的な意味では善人と呼んで差し支えない。そのような善人たちがまったく無自覚に、当事者にダメージを与え続けるのだ。たとえば良かれと思って「普通」の家庭を目指したいと述べてしまう母親。何気なく「男らしくない」という言葉を使う教師。「男同士」が付き合うことを揶揄する子どもたち。「オネエ」タレントを面白キャラとして扱うメディア。そして何の悪意も持たず、その真似をする大人や子供。
こうした登場人物たちは、無知やそれに起因する配慮のなさのために、無自覚な加害者になってしまっている。かれらは、そのような知らぬがままに犯してしまった罪によって、最終的に取り返しのつかない罰を受けてしまうのだ。

この映画はもちろん、よくできたフィクションにすぎない。だが、日本でLGBTやクィアといった性的少数者がおかれている状況の一面も表している。映画の登場人物たちにLGBTやクィアについての知識が少しでもあれば、当事者が当事者だと気づかなくても、言葉遣いや態度が変容することによって、無自覚に当事者を傷つけることはしなくてよかったかもしれない。それによって、映画の結末も変わっていただろう。


「理解増進」の必要性を暗示
この映画はクィア映画と呼べるが、その矛先は当事者ではなくマジョリティに向けられている。マジョリティが自らのマジョリティ性に安住し、無知であることは罪なのだ。複数の視点が交錯する映画の構成も、単なるギミックを越えた意味がある。無知を前提にしたマジョリティ側からの視点、マジョリティ側からの配慮は、独りよがりのものにすぎないということだ。この映画はそのことを残酷なまでに描き出す。

学校教育の現場での「理解増進」が必要な理由はここにかかっている。日本社会の空気は、いまだ性的にはストレートの人間たちの「当たり前」を基準に形成されている。従って、我々は普通に生活しているだけで、悪意はなくても当事者を傷つけることになる。それを防ぐために、早い段階からの教育が必要だということになる。


マジョリティへの「理解」を求める「LGBT理解増進法」
6月16日に成立した、いわゆるLGBT理解増進法は、当事者にとって希望となるどころかむしろ不安を煽るものとなった。法案は、2021年に既に超党派によってまとめられ、既に成立を待つばかりのはずであったが、主に自民党内の右派の抵抗によって、その審議過程で大きく内容が歪められた。

たとえば「差別は許されない」という文言が「不当な差別はあってはならない」という、まるで正当な差別が存在するかのような言い回しに変更され、また「民間の団体等の自発的な活動の促進」も削られてしまった。また維新と国民民主党の修正案で「全ての国民が安心して生活できるよう留意する」というマジョリティへの配慮を求める文言も追加された。
学校での性的少数者に関する教育・啓発の規定は、さらに問題があるものになった。「保護者の理解と協力を得て行う心身の発達に応じた教育または啓発」という文言が追加され、理解増進は「家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつ」行われることになったのだ。

しかしその「保護者」とは何者か。『怪物』の登場人物に喩えれば、それはクィア的傾向を持つ自分の子供をモンスター扱いする父親であり、「男らしい」父親像を悪意なく理想化してしまう母親のことだ。
この「理解増進法」が配慮せよと述べている対象は、当事者を少しずつ、ボディーブローのように傷つけていくマジョリティの空気なのだ。映画の中でも、当事者がいかにマジョリティに「気をつかって」生きているのかを述べるくだりがあるが、この法律はそれを当事者にますます強く要求するのだ。


少数者に閉じられた世界
2017年の韓国映画『お嬢さん』は、映画の構成やテーマの面で、『怪物』とパラレルの関係にある。大きく違うのはその結末だ。日本統治下の韓国を舞台にしたこの作品は、これから始まる開かれた世界への展望を持って終わる。一方『怪物』は、閉じられた世界へと向かう。ビッグ・バンに対するビッグ・クランチ。膨張してきた宇宙は、再び収縮へと至る。それが消滅するまで。

『怪物』の結末をどのように評価すべきかは難しい。開かれた世界への道筋を示す方法もあっただろう。しかし少なくとも、この映画が2023年の日本のリアルを描いているとすれば、この映画にはこの結末しかありえなかったといえるかもしれない。まったくタイムリーなことに、日本国は性的少数者に対して、マジョリティの顔色を窺って閉じた世界に籠っていれば許してやるという法律をつくったのだから。


怪物

わたしは、この映画すごくよかったと思います。子ども時代のわたしに出会えたような気になりました。ロケ地は長野県の諏訪湖だったようです。


子どもたちの秘密基地のこの電車も素敵でした。
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女性の安全安心を脅かすものは何か――LGBT理解増進法をめぐって
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女性の安全安心を脅かすものは、何なのかという考察です、LGBT,しかもトランスジェンダ―女性でしょうか。


この問題に関する法的な視点からの考察です。

立石結夏(たていし・ゆか)弁護士弁護士の投稿です。


女性の安全安心を脅かすものは何か――LGBT理解増進法案に関する議論の混迷(立石結夏)

特集/LGBTQ・性的マイノリティと法――トランスジェンダーの諸問題| 2023.06.23 
https://www.web-nippyo.jp/32560/

#法律#特集_LGBTQ・性的マイノリティと法#社会

LGBTQあるいは性的マイノリティの人権問題が日本社会の中で注目を集めるようになってから久しいですが、未だその人権保障状況が充分に改善しているとはいえません。本特集では、まず「トランスジェンダー」といわれる人々の人権問題について、特に法的な観点からの分析や議論を紹介します。


【なぜ、シスジェンダー女性の安全の話になったのか】
2023年6月16日、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」(いわゆる「LGBT理解増進法」)が成立した。この法案をめぐる国会議員の発言や報道において、次のような言説が頻繁に聞かれるようになった。

すなわち、「性の多様性が尊重されるようになると、トランスジェンダー女性や女装した男性が女性用トイレや公衆浴場の女湯を利用するようになり、シスジェンダー女性の安全を脅かす可能性がある」というのである。

この言説は、あらゆる点で誤解に基づくもので、トランスジェンダー女性に対する差別と偏見に基づいている。このことは、すでに拙稿「トランスジェンダー女性と「性暴力論」を切り離す」で述べた。したがって、トランスジェンダー女性の女性用施設の利用と、性犯罪・性暴力が無関係であることは、本稿では繰り返さない。


また、シスジェンダー女性、トランスジェンダー女性のそれぞれに、等しく、個人として尊重され、自分らしく生きる権利がある。この当然の前提も、ここで詳細には述べない。

むしろ、ここで筆者が問いたいと思うのは、なぜ、今、そのような言説が止まないのか、なぜ、性の多様性と女性の安全安心を天秤にかけるような議論が始まったのか、である。


【なぜ、トランスジェンダー女性が怖いのか】
そもそも、トランスジェンダー男性の男性用トイレの利用については、まったく問題視されていない。したがって、性別を越境すること自体の批判は、あまり挙がっていないようである。集中的に議論されているのは、圧倒的にトランスジェンダー女性についてである。

思うに、トランスジェンダー女性の出生時の性別が男性であり、しばしば「生物学上男性」「身体は男性」等と言われて「男性」のカテゴライズで議論がなされている。したがって、この言説は、「男性」が女性用施設に立ち入ること、そのことへの抵抗感は正当なものではないか、そういう問いかけとなっているのである。

その背景には、男性は女性に暴力をふるう、男性は女性の性を搾取する、男性中心社会で女性の安全は保たれていない、そう実感させる過去の事例と将来の可能性が、社会で暗黙に共有されている。そういう社会だから、「トランスジェンダー女性が怖い」という意見が挙がり、そのような意見にも十分な理由と説得力があるのではないか、と一部の人が思ってしまうのである。

つまり、「トランスジェンダー女性が怖い」のではなく、「男性が怖い」のであり、男性が女性を抑圧する社会構造が変わらないかぎり、このような女性の声は止まないのではないか。

【どうすれば安全安心を守れるか】
これまで、女性たちは、女性だからという理由で、嫌な思いをし、不快な思いをし、満員電車は被害と隣り合わせであり、夜の街で不愉快な掛け声をかけられてきた。家に帰れば安全であるとも限らない。たとえ家庭が安全であったとしても、家事、育児、介護を、女性だからという理由だけで押し付けられる。そういう女性は、2023年現在でも少なくない。

そのような中、メディアやインターネット上の議論において、女性用施設(女性用トイレや女性用浴場等)ですら、「男性」と共有しなければならないかのように言われていたら(そもそもこのような見解は誤解に基づくとしても)、それに抵抗感を感じても不思議ではない。

それでは、トランスジェンダー女性を排除することで、シスジェンダー女性は安全になるのかというと、そうではない。男性による女性の性暴力・性差別がなくならない限り、この言説はなくならないであろう。

むしろ、筆者は、トランスジェンダー女性を排除するような言動こそ、女性の安全安心を後退させると考えている。なぜなら、トランスジェンダー女性に対し、一方的に負担を押し付けること、あるいは一方的に制限をかけること、それはまさに権力的抑圧的男性が女性に行ってきたことと同じである1)。誰かを排除したり、制約をかけることで自分たちの居場所を確保しようという発想が、これまで権力的抑圧的にふるまってきた男性の言動そのものだからである。

このような発想は、ジェンダー不平等の構造を強固にするであろう。このような社会構造こそが、女性たちの真の敵であり、私たち女性を苦しめてきたものである。

【権力的抑圧的な発想を手本にしてはならない】
一部の人たちが、どういう意図であれ、シスジェンダー女性の安全安心を理由に、性の多様性を尊重する動きを積極的に封じようとしている。純粋に、シスジェンダー女性を守ろうという動機によるものかもしれない。そうだとしても、このような一部の人たちは、これまで女性の性被害等、ジェンダー不平等について真剣に取り組んできた様子が見えないのであるが、そのことに加え、あまりに性的マイノリティやその家族に配慮を欠く発言を公に行うことがある。そのような言葉の刃が向けられたその当事者たちに、刃を向けられる理由があるとしたら、その人が性的マイノリティだから、以外に理由は見当たらない。

これはまさに、女性たちが女性であるがゆえに遭ってきた性被害と同じである。
抑圧的権力的な人たち2)が行ってきた言動を手本にし、繰り返すようなことをしてはならない。「法は家庭に入るべからず」という理由で、DV防止法が制定されるまで、夫から妻への暴力は家庭内の問題として内々に解決するよう求められてきた。職場や教育機関内での性暴力は、セクハラが法で禁止されるまで、個人のプライベートな問題として済まされてきた。そして、これらの内々の解決に、男女の力関係が大きく影響してきた。そういうことが当たり前であったのも、まさに性差別的な社会構造の中で、政治家も、組織の上層部も、弁護士も、権力的抑圧的な男性ばかりで構成されていたことと無関係ではない。

【ジェンダー不平等の解消に向けて】
繰り返すが、女性の安全安心を脅かしているのは、ジェンダー不平等の社会構造である。一部女性が男性と同じように働くことができていたり、一部男性にジェンダーに偏りのない価値観で行動できていたとしても(そういう男性はたくさんいる)、それだけで、男女が平等になったとはいえない。

ジェンダー不平等は根強く、一人ひとりが向き合い、一人ひとりが行動を起こさないと事態は変わらない。
その不平等さゆえに、自分の生活、仕事、家庭それぞれの状況に余裕がなく、居場所がなく、この国の社会構造の話など無関係に思えたとしても、誰かを抑圧して女性たちの自由と権利を確保しようとすれば、それは結局女性たちを苦しめるジェンダー不平等を強固するふるまいである。そしてそのようなふるまいが大きな力となれば、ますます、女性の性差別、性被害はこの社会からなくならないであろう。

それでも、さまざまな情報に接し、トランスジェンダー女性が怖いと思ってしまう女性が安心を得るには、どうすれば良いのだろうか。例えば、性犯罪の実態を知ることは、有益である3)。トランスジェンダー女性を女性用施設に入れることにより、「男性」の入場を許す契機となり、危険が舞い込んでくるのではないか、と不安をあおっても、女性たちの安全が確保されないことは確かである4)。

【新法を活かす】
LGBT理解増進法に対する評価はさまざまにある。
特に、シスジェンダー女性の安全安心を脅かす、という言説によって、同法案の衆議院提出の直前に、急遽、「全ての国民が安心して生活できるよう留意する」という文言が追加された。性的マイノリティへの理解を促進することによって、他の国民の生活の安全安心が損なわれるかのような書きぶりで、不適切である。

しかし、この文言を追加したからには、この法案を提出した与野党、そしてこのような言説を公に展開した人たちには、性犯罪、セクハラ、DV等、特に女性とLGBTQ当事者に押し付けられているジェンダー不平等の解消に向けて、正面から取り組むことを期待したい。

◆この記事に関するご意見・ご感想をぜひ、web-nippyo-contact■nippyo.co.jp(■を@に変更してください)までお寄せください。

脚注
1. ↑ 女性専用車両について若干のコメントをする。女性専用車両とは、電車や地下鉄車両に女性だけ使用できる車両を確保し、男性の利用を排除して、女性の安全安心を確保する民間企業のサービスである。これも一種の、一方の性別が他方の性別を排除して安全安心を確保する取り組みであるが、これは権力的抑圧的であるとはいえない。公共交通機関内の痴漢事犯の発生は年間1000件を超え、駅構内やエレベーター内等を含めると年間2000件以上に上る。加害者・被害者の男女の別がデータにないが、加害者が男性、被害者が女性の組み合わせが最も多いことは公知の事実である。
警察庁生活安全局生活安全企画課「令和4年中の迷惑防止条例等違反(痴漢・盗撮)に係る検挙状況の調査結果」(令和5年5月)
「痴漢事犯の検挙状況等の推移(平成27~令和元年)」(e-Govデータポータル)

2. ↑ 当然ながら、権力的抑圧的な言動は、男性ばかりでなく、女性が行うこともあるし、性的マイノリティその他マイノリティが行うこともある。そして、権力的抑圧的な言動を受けた者が、他人に対し、権力的抑圧的な言動を取ることも少なくない。
 当然に、権力的抑圧的でない男性もたくさんいる。他方、権力的抑圧的男性について、個人が尊重され、自由に生きているともいえない。男性特有の生きづらさや心理的社会的圧力が、ジェンダー不平等な社会の原因の一つであるともいえる。

3. ↑ ここで、いくつかの情報を提供したい。まずは、性被害のステレオタイプについてである。 女性用トイレで発生する性犯罪とは、見知らぬ人から突然に襲われるようなイメージがある。これは、古くからある強姦神話の一つである。強姦神話とは、性暴力・性被害に持たれているステレオタイプがあるがゆえに、実態と離れ、かえって被害の解明や被害者救済を妨げている信念のことである。そもそも性犯罪というのは、見知らぬ人が加害をするより、何らかの関係性を作り、その関係性の中で起こることが非常に多い。知らない人から突然、というのは少数である。上司部下、親族、教育現場、知り合って数回会った、サークルの飲み会で知り合った等、こういう関係性の中で性暴力が起こっている。そのため、性犯罪被害者は自分に落ち度があると考えて被害を認識できなかったり、周りに相談することができずに悩み、心身への影響が長期化しやすい。加害者はそのような被害者の心理を十分に心得ている場合もある。

法務省において、性犯罪に関する刑事法検討会が令和2年6月から16回にわたって開かれた。ここでは、性犯罪に関し第一線の議論をしている被害者心理・被害者支援等関係者,刑事法研究者、弁護士等の実務家、及び当事者団体が、活発に議論を行った。この議論の全文は、インターネット上で読むことができる。
この検討会の裁判例調査によっても、被害者18歳未満の事件106件において、まったく面識のない人からの性被害はたった2件である。

次に、性犯罪の発生場所についても指摘しておきたい。LGBT理解増進法案の議論の中では、あたかも女性用トイレが犯罪の温床のように議論されがちであるが、全国的にみて、性犯罪の発生場所で多いのは女性用施設ではない。
例えば、大阪府のデータでは、性犯罪事案発生現場として一番多いのは、道路上、住宅、店舗の順である 。
だからといって、トイレが無防備な状態で良いというわけではなく、安全安心なトイレ設計の議論は必要であるが、誰にとっても安全であることが大前提であろう。

4. ↑ ちなみに、上記刑事法検討会の議論を見ても、トランスジェンダーによる性加害や、トランスジェンダーに扮した男性について問題意識を持っている有識者は皆無であったが、トランスジェンダーの性被害についての問題意識は共有されていた。

立石結夏(たていし・ゆか)
弁護士。第一東京弁護士会、新八重洲法律事務所所属。
「セクシュアル・マイノリティQ&A」(共著、2016年、弘文堂)、「セクシュアル・マイノリティと暴力」(法学セミナー2017年10月号)、「『女性らしさ』を争点とするべきか――トランスジェンダーの『パス度』を法律論から考える」(法学セミナー2021年5月号)、『詳解LGBT企業法務』(共著、2021年、青林書院)



NHKの解説委員室の解説も的を得ています。

"LGBT理解増進法"成立 対立ではなく対話を
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/485007.html
2023年06月22日 (木)

竹内 哲哉 解説委員

性的マイノリティーへの理解を広めるためのいわゆる“LGBT理解増進法”が、今月16日に参議院で賛成多数で可決・成立しました。成立まで足かけ7年をかけた法律ですが、当事者のなかには「理解を広める法律ではなく、差別を助長しかねない」と懸念を訴える声もあります。

なぜ、このような状況になっているのか。23日に施行されるLGBT理解増進法はどういう法律なのかを解説するとともに、多様な性が尊重されるために必要なことを考えます。


解説のポイントです。
1.LGBT理解増進法とは
2.分かれる意見
3.指針の策定に必要なこと です。

【LGBT理解増進法とは】
「同性愛をからかわれ、いじめられた」「同性愛を理由に不動産を借りるのを断られた」「トランスジェンダーを理由に内定を取り消された」など、社会に根強く残る性的マイノリティーへの差別や偏見。

そうした性的指向やジェンダーアイデンティティ、性自認や性同一性と訳されますが、そのジェンダーアイデンティティを理由とする不当な差別はあってはならないと定められているのが、今回成立したLGBT理解増進法です。
この法律では国や自治体、企業や学校などは性的マイノリティーへの理解の増進や啓発、環境の整備などが努力義務として定められました。また、これまで性的マイノリティーを巡る行政の政策は厚生労働省や文部科学省、国土交通省などで行われてきましたが、今後は内閣府に設置された担当部署が基本計画の策定や啓発活動などに取り組むことになります。この法律、理念法のため罰則規定はありません。

この法律により性的マイノリティーの人権を保障する法の後ろ盾がゼロではなくなったということは、一歩前進と言えるでしょう。努力義務とはいえ、これまでよりも理解が広がる可能性がでてきましたし、内閣府が相談窓口になったことで、差別的な事例を集めて対応マニュアルを作ることも可能だと考えます。


【文言を巡って分かれる意見①男女別施設の利用】
しかし、差別禁止を求めてきた団体などは法案成立直後に、緊急記者会見を開き、この法律に対する懸念を訴えました。いくつかありましたが、私は2つの点を指摘したいと思います。

ひとつは、議論の最終盤で付け加えられた「全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意する」という文言です。この背景には保守派や一部の女性から男女別トイレや公衆浴場において性の多様性のあり方に懸念があったため、不安を払拭するために、性的マイノリティーも含む、すべての人という意味で文言を付け加えたといいます。

一方、差別禁止を求めていた少数派は、この文言に「私たちは多数派を不安にさせる存在なのか」と感じ、会見では「性的マイノリティーが国民の安心を脅かすかのような存在として、法案に明記されていることに強い憤りを感じる」と訴えました。人権の専門家も「法律が大きく後退した」といいます。

法律によっていままでの規範が崩れるのではという懸念は分かります。性被害にあったことがあれば猶更だと思います。しかし、この法律が施行されたとして、男性と女性が区別されている施設の利用基準は変わるものではありません。
そして“性自認だけ”では施設の利用は決まりません。仮にトランスジェンダー女性が女子トイレを使う場合、周りの人との関係性を留意しながら利用しています。この問題で、いちばん神経をすり減らしているのはトランスジェンダー女性たちです。

そもそも問題なのは“偽装する男性”、犯罪者であって、トランスジェンダー女性ではありません。考えるべきは、卑劣な行為に対する厳格な処分です。
人権と犯罪を一緒くたにした議論はすべきではありません。属性と個人の問題も切り離して考えなければなりません。属性に落とし込むことは差別や偏見を助長します。性的マイノリティーに関する正確な知識をまだ持ちえていない人が少なからずいて、そのための理解を深める法律ですから、政府は対立ではなく対話を進め、お互いの権利を尊重できるよう尽力してほしいと思います。


【文言を巡って分かれる意見②学校教育】

もう一つの懸念は、学校での理解増進に関して、「家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつ」という文言が入ったことです。この文言が入った背景には、性の多様性を教育している国のなかには、学校と保護者との間で摩擦が起きる事例がありタイミングや内容について、保護者の理解を得ながら丁寧に進めていくことが重要との観点からです。

教育現場では数年前から性の多様性について学ぶ取り組みが始まっており、その動きは加速しています。例えば、今年3月の小学校教科書の検定結果では、保健体育のほか道徳や社会でも性の多様性が記載されました。これは現行の教科書の記載よりも大幅な増加です。自治体レベルで研修会なども行われており、教員の意識改革も進んでいます。
しかし、先ほどの文言が入ったことで、保護者などが反対したら学校現場が萎縮し、こうした取り組みに歯止めがかかるのでは、という懸念が生まれています。

この懸念に対し、参議院内閣委員会で法案を提出した議員の一人は「保護者の協力を得なければ取り組みを進められないという意味ではありません」と答弁しています。審議過程で保護者の協力を条件としないことが確認されたことは、この文言を理由に多様な性の教育を抑制する動きには、十分な効力を持つと考えます。

2022年にNPO法人が行ったインターネット調査によると、性的マイノリティーの学生が学校で困難やハラスメントを経験したとの回答が70%以上。同じ調査で、過去1年以内に10代の性的マイノリティーのおよそ48%が自殺を考えたことがあり、14%が実際に自殺をしようとしたというデータがあります。

性の多様性の教育は命を守ることに直結します。教員がきちんと指導でき、子どもたちが理解できる環境を作ることは、この法律によって守られるべきであり、この文言によって妨げられることがあってはならないと思います。


【指針策定に求められること】
最後に政府に課せられた運用に必要な指針の策定について考えたいと思います。この指針の策定にあたり、私が最も大事だと考えるのが、性的マイノリティーが中核となり議論に参加することです。これは現在の障害者施策の根本となる “私たちのことは私たち抜きに決めないで”という考え方の応用です。

政府は指針策定にあたっては、性的マイノリティーの参加と人権問題に詳しい有識者を招聘し、エビデンスに基づいた感情論に流されない議論を行うよう筋道をつけてほしいと考えます。また、目標を設定し政策評価をできるようにすることも重要です。


【まとめ】
この法の成立までに深く傷つき、生きることへの恐怖を覚えた性的マイノリティーがいると聞いています。そうしたことが起きてしまったことは本当に残念でなりません。ただ、社会の意識は少しずつですが確実に変わってきています。自治体も企業も権利を守る方向へと進んでいますし、同性婚を認めない現行制度について4つの地方裁判所が「違憲」あるいは「違憲状態」と判断しているのも、その流れの表れでしょう。

この法律は23日から施行されますが、施行後、3年を目途に見直しが検討されます。法律は弱者を守る最後の砦です。政府はいま一度、性的マイノリティーの人権を守るということはどういうことなのかを考え、よりよい法律へと昇華してほしいと思います。

竹内 哲哉 解説委員
【ジェンダーギャップ指数】、2023年は世界125位、過去最低のこの国で! 

ジェンダー差別


またまた日本のジェンダーギャップ指数、低下したようです。先進国最下位、しかもダントツ。



ジェンダーギャップ指数2023、日本は125位に順位を下げる。政治分野は「世界で最も低いレベル」と指摘

ジェンダーギャップ指数2023Maya Nakata/ハフポスト日本版 https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_6491611be4b0756ff8667900


ジェンダーギャップ指数2023、日本は125位に順位を下げる。政治分野は「世界で最も低いレベル」と指摘
世界経済フォーラム(WEF)が国別に男女格差を数値化した指数。ジェンダー平等への動きは停滞し、格差是正にはあと131年かかる見込み。

Maya Nakata  2023年06月21日 7時1分 JST

世界経済フォーラム(WEF)は6月21日、「ジェンダーギャップ指数2023」を発表した。

WEFは、世界の政治やビジネス界のリーダーが参加する「ダボス会議」を主催する非営利の国際機関。「ジェンダーギャップの解消を進めることは、包摂的で持続可能な経済成長を確保するために極めて重要」として毎年、この指数を発表している。

日本は調査対象となった世界146カ国のうち125位で、前年の116位から順位を下げた。なお、日本を挟んで124位はモルジブ、126位はヨルダンだった。

特に政治参加分野の格差は引き続き大きく、前年からほぼ横ばいの146カ国中138位で「世界最低レベル」の結果に。経済分野については前回(121位)より少し順位を下げ123位だった。

ジェンダーギャップ指数2023
政治分野138位

ジェンダーギャップ指数は、「経済」「教育」「医療へのアクセス」「政治参加」の4分野のデータで、各国の男女格差を分析した指数。

4分野の点数は、いくつかの小項目ごとの点数で決まる。小項目を集計する際は、標準偏差の偏りを考慮したウェイトをかけている。 ただし、4分野の点数から算出される総合点は、4分野の平均になっている。スコアは1を男女平等、0を完全不平等とした場合の数値で、数値が大きいほど男女格差の解消について高い評価となる。






そこで愛国女子の自民党カルト右派のみなさんが、立ち上がったようです(笑)?

自民「全ての女性守る議連」設立 LGBT法の懸案主張

6/21(水) 10:56配信 共同通信  https://news.yahoo.co.jp/articles/914c1b4d954391575413ed2052f6e58ba1ba18a2?source=sns&dv=sp&mid=other&date=20230621&ctg=dom&bt=tw_up

自民党の有志議員は21日「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」の設立会合を党本部で開いた。16日成立したLGBTなど性的少数者への理解増進法に対する懸案を踏まえ、女性の専用施設やスペースの充実、権利保護といった対策を講じるよう主張した。
 会合には議員40人以上が出席。衆参本会議の採決時に退席した高鳥修一衆院議員や山東昭子前参院議長ら、理解増進法に慎重な保守派が多数参加した。
 政府が今後策定する基本計画への意見反映を目指す方針。必要があれば女性の権利保護に関する議員立法の是非も検討する考えだ。
トランス差別2



おわかるだと思うのですが、従来男尊女卑的な家父長的家族観や女性観の基づいて、夫婦別姓などに反対されてきた人たちなのです。要するにトランスジェンダーやLGBTの権利を抑制し、差別を広げたいと結成されているようです。差別的なLGBT法案。女子トイレや女子風呂の問題、さらに女子スポーツにおいてトランスジェンダー特にとトランス女性を排除し、差別するのが目的のようです。


トランス差別

どうやら極右議員の片山さつきさんが音頭をとって、結成された団体なのです。

この男尊女卑的な考えの人たちが守ろうとしているのは、男社会を前提に家父長的な社会における「女性らしさ」に過ぎないことに早く気が付くべきですよ。カルト右派に包摂され、乗っかると日本のジェンダ平等ギャップさらに下降して、さらに女性にとって生きづらくなります。

トランス女性差別とジェンダー平等ギャップ指数って関連してると思うのですが。トランス女性に対して女性スペースを守るなどという保守的な動きはますます、この指数を下げることになりかねないと思うのですが⁉


確かにトランスヘイターが使う「女性の権利」というのは、「女性を守る男性の権利」の延長や「女性らしさ」とその領域を守るといった動きであって、家父長的女性観を守る運動に過ぎないように思います。カルト右派の運動に包括されていくのではないかと見てましたが、早速そういう動きとなってますね。


特に女性のみなさん、「女性の権利やその安全」と言った言動に惑わされているみなさん、この人たちについていって大丈夫かよく考えてみてください。


また女子スポ―ツをめぐるトランスジェンダー差別が新たに広がるかもしれないです。それはトランスジェンダ―のスポーツをする権利を侵害することにもなるのです。


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「トランスジェンダーのカミングアウト」を題材にした素敵なスタバCM
スタバ



乙女塾のホームページより、スタバの素敵なCMについてです。

「トランスジェンダーのカミングアウト」を題材にしたスタバのミニドラマが感動的
みなみ 2023-06-08(Thu) 12:42photo by 乙女塾 #生活

みなさんは「カミングアウト」をしたことがありますか? ここでいう「カミングアウト」とは、出生や性自認、病状をはじめとして「今まで打ち明けられずにいた『自分自身の奥底にある特性やアイデンティティ』を、目の前の相手に告白すること」をいいます。もちろん、「カミングアウトする・しない」は、当事者本人の判断です。

特にトランスジェンダーの女性は、髪の毛を長くのばし、ホルモン治療を続けることで、見た目に大きな変化が起こることが多いため「カミングアウト」はなかなか避けては通れないものかもしれません。

カミングアウトは友達や職場、親などが相手となることが多いのですが、なかでも親へのカミングアウト、とくに「父親へのカミングアウト」は一筋縄ではいかない難しさがあると考えています。

わたしの父親はすでに他界していたので、トランスジェンダーであると打ち明けることができませんでした。 いっぽうで母親へのカミングアウトであっても、かなりの勇気が必要だったことを今でも覚えています。

そんな「トランス女性のカミングアウト」を題材としたミニドラマが、スターバックスによって公開されました。 このミニドラマは「スターバックスのお店を舞台に、主人公である娘が両親にカミングアウトする」というもの。

おそらく待ち合わせしていたであろう両親が待つ店内に、綺麗になった娘がやってくる。娘のカミングアウトを自然に受け入れる母、葛藤する表情を見せながらも、最後にはちゃんと受け入れる父。当事者である私の視点から見ても、とても真に迫ったリアリティがあって、思わず目頭が熱くなる思いでした。
スターバックスは2020年にもトランスジェンダー男性が登場するCMを作り賞賛をされていました。
当事者のみなさんがこんな理解のある親へのカミングアウト(親カム)ができることを祈って、6月のプライド月間をいっしょに楽しみましょうね。



こちらのCMです。親へのカミングアウト、ほのぼのとしたCMにしあがっています💛

https://www.youtube.com/watch?v=YyKOc8M5w-s



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LGBTQへの性暴力被害と「多様な性」尊重の流れを止めないためにできること 
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性暴力って女性にむけられるだけでありません。LGBTQさらに男性にもむけられます。女子トイレや女子風呂に関して、特にトランス女性が、女性の不安や恐怖の対象のようにいわれると悲しくなるし、トランス女性も性暴力の不安や恐怖を持っているのです。

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LGBTQへの性暴力被害は潜在化しやすい…暴力の標的にされやすく、相談先も限られる

2023年6月18日 06時00分   https://www.tokyo-np.co.jp/article/257346

 性的少数者(LGBTQ)の性暴力被害は潜在化しやすい。背景には、当事者が性自認や性的指向などのあり方(セクシュアリティ)を明かしにくい事情のほか、LGBTQに対する無理解や偏見が指摘される。相談の受け皿も限られ、適切な支援に結び付かないことで命の危険も生じかねない。(太田理英子)

◆LGBTQの4割が性被害の経験
 LGBTQへの暴力根絶を目指す任意団体「Broken Rainbow Japan(BRJ)」には、人の尊厳をふみにじるような「触られるだけありがたいと思え」「(セクシュアリティを)直してやる」といった言葉を浴びせられた被害者からの相談が絶えない。

 2019年、宝塚大の日高庸晴やすはる教授がライフネット生命保険の委託研究でLGBTQ約1万人を対象にした調査では、約4割が被害経験を明かした。「性器や胸など体を触られた」が約22%と最多で、肛門や膣ちつへの挿入の被害もあった。

 BRJ代表の岡田実穂さんは性暴力はどのような属性でも起こるとした上で、「LGBTQの被害は差別が根底にあることが多い」と指摘。もともと自らのセクシュアリティを明かしていない人が多く、弱みに付け込まれる例が目立つ。嫌悪感情に基づく被害もあるという。「社会的に弱い立場に置かれやすい人は加害者にとって支配しやすく、暴力の標的にしやすい」

◆法テラスも「事例が少ない」
 こうした困難や背景を理解し、対応できる受け皿は整っていない。
 BRJは21年、全国のワンストップセンター運営組織に調査を実施。回答した31団体のうち、LGBTQの対応が可能としたのは9団体、具体的な研修をしているのは7団体にとどまった。

 回答からは「相談員ごとのスキルの差」のほか、医療機関でも婦人科以外との連携が進まないなど体制面の課題も浮かんだ。内閣府の担当者は「地域によって連携先が限られているのが実情」と話す。

 警察庁は、性犯罪捜査に関わる警察官向けの講義で、LGBTQへの理解促進を図っている。一方、犯罪被害者の相談窓口を持つ日本司法支援センター(法テラス)では研修の例はなく、本部担当者は「事例が少なく、検討できる材料が乏しい」と明かす。

◆心の傷が深刻化しかねない
 支援につながらないことで、当事者の孤立や傷つきはより深刻化しかねない。
 日高教授の別の調査では、同性愛や両性愛男性の自殺未遂リスクは、異性愛男性の約6倍。日高教授は「LGBTQはもともと差別や偏見で精神的健康を害する傾向があるが、性被害後に支援機関などで適切に対応されないことでより悪化しかねない」と危惧きぐする。
 
 17年の刑法改正時、LGBTQや男性の性暴力被害者を巡り「偏見に基づく不当な取り扱いをしない」との付帯決議がされたが、浸透しない現状を岡田さんは嘆く。今国会で成立した改正刑法では「強制性交罪」が「不同意性交罪」に見直され、男性を前提としてきた加害者の性別は実質、問われなくなった。「行政や支援団体には性暴力のありようの多様さを理解し、当事者が安心できる支援体制づくりをしてほしい」
 
BRJへの相談はメールで、Brainbowj@gmail.com へ。



参院の内閣委委員会で参考人としてよばれた松岡宗嗣さんが、差別的なLGBT理解増進法のもとどんな動きをしていくべきか語られています。


LGBT理解増進法が成立。「多様な性」尊重の流れを止めないためにできること

松岡宗嗣一般社団法人fair代表理事
6/19(月) 7:12

16日、参議院本会議で「LGBT理解増進法」が可決、成立した。
約2年前に超党派で合意したはずの案が反故にされ、議論が進むほど内容は後退。最終的に理解増進ではなく、理解"抑制"法になってしまったと言わざるを得ない今回の法律。

改めてLGBT理解増進法の内容や、国や企業、学校に求められることを振り返り、今後起こり得る懸念と対応を考えたい。

LGBT理解増進法の内容(筆者作成)
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理解を広げる「足掛かり」となるはずだが…

「LGBT理解増進法」は、「性的指向やジェンダーアイデンティティを理由とする不当な差別はあってはならない」という基本理念のもと、国や自治体、学校、企業などに対して、性の多様性に関する「理解の増進」のための施策を求めている。
特に国に対しては、理解を広げるための「基本計画」を策定することや、そのために必要な「学術研究」を推進すること、「知識の普及」や「相談体制」を整える努力などを規定している。

これまで、性的マイノリティをめぐる行政の政策は、厚労省や文科省などそれぞれの省庁でバラバラに行われていた。今回の法律によって、内閣府を担当省庁・総合調整を行う部署として「連絡会議」が作られることになり、各省庁の施策を連絡調整し、総合的な施策の実施がされるようになる。

特に企業に対しては、理解増進のための研修や啓発、就業環境に関する相談体制の整備、その他の必要な措置が求められ、学校に対しても同様に、教育や啓発、教育環境に関する相談体制の整備、その他の必要な措置が求められる。それぞれ努力義務の規定ではあるが、企業や学校で理解を広げるための足掛かりになると言えるだろう。

このように、LGBT理解増進法は、国や自治体、企業、学校が、性の多様性に関する理解を広げる上での一つの法的責任となり得る。これまでは意識のある現場が、自助努力的に取り組みを行ってきたが、今後は法的にも対応が要請されることになる。

ここまで読むと、法律によって適切な理解が広がっていくのではないかと期待されるだろう。
しかし、この法律はそもそも根本的な問題があり、加えて、土壇場で修正された文言によって、もはや理解の増進ではなく「理解を制限できてしまう」ものへと変質してしまったと言わざるを得ないのだ。

【理解を「阻害」できる規定】
(1)差別禁止規定がないため、具体的な被害を解決できない
例えば「トランスジェンダーだとカミングアウトしたら内定を取り消された」「同性カップルだと伝えるとサービス提供を拒否された」といった、具体的な「差別的取扱い」の被害に対して、LGBT理解増進法では対応ができない。なぜなら、この法律には差別の禁止規定が入っておらず、あくまでも理解を広げる施策を要請するにとどまり、何らかの対処や責任、救済を求める内容ではないからだ。

本来、差別をなくすためには、差別的取扱いを禁止し、その上で適切な理解を広げていくことが必要だ。今回の法律は、その意味で「土台」がない状態だと言える。

(2)「多数派の安心への留意指針」が盛り込まれ、理解増進の施策が制限される可能性
今回の法律をめぐる議論の中では、土壇場で「全ての国民の安心に留意する」「そのための指針を定める」といった条文が新設された。

一見問題のない文言に見えるが、この条文によって理解増進という法案の方向性が大きく変わってしまったと言わざるを得ない。なぜなら、この文言は性的マイノリティが多数派を脅かす存在かのような前提となってしまい、実質的に「多数派の安心への留意指針」になってしまっているからだ。

つまり、今回の法律が定めている国や自治体、学校などのあらゆる理解増進の施策について、もし多数派の人々が「不安だ」と表明すれば、施策が制限・阻害されてしまう可能性がある。

「留意」規定が新設された背景には、LGBT法案ができると「男性が『女性だ』と自称さえすれば、女性用のトイレや公衆浴場に入れるようになってしまう」といった懸念の声に対応する意図があるのだという。

しかし、LGBT理解増進法は男女別施設利用などの具体的かつ個別のケースに対応する法律ではない。一時的に性別を"自称"さえすれば、女性用トイレや公衆浴場を利用できるような実態はなく、法文が現状の男女別施設の利用基準を変えるものでもない。あくまで性の多様性について理解を広めるための法律でしかないのだ。

残念ながら、今後この「留意」規定を根拠に、特定の個人や団体などが、男女別施設の運用に限らず、自治体や学校等の理解の取り組みを制限する動きを起こす可能性があり、現場は萎縮してしまう懸念がある。
実際、自民党の古屋圭司議員は、ブログで「この法案はむしろ自治体による行き過ぎた条例を制限する抑止力が働くこと等強調したい」と明言し、同じく自民党の西田昌司議員は「国が指針を示すことで、地方や民間団体が過激な方向に走らないよう歯止めをかける。そのための道具としてLGBT法案が必要」と言い切っている。

一方で、行政法が専門の日本大学大学院・鈴木秀洋教授は、毎日新聞の取材に対して「『留意』規定で性的少数者の権利を制限するような解釈はできない」と指摘している。
法律は憲法との整合性が求められる。憲法では「個人の尊重」や「差別の禁止」が定められ、さらに今回の法律の基本理念でも「不当な差別はあってはならない」と明記されている。

つまり、これらの趣旨に反するような理由で、理解増進に「反対」が起きたとしても、性的マイノリティの権利の制限や阻害はできないということになる。


(3)「家庭や地域住民の協力」が明記され、学校教育が制限される可能性
もう一つ、土壇場の修正で加えられた大きな懸念が、学校教育における「家庭や地域住民、その他の関係者の協力」が必要といった文言だ。

もちろん、学校で性の多様性に関する理解を広げる上で、家庭や地域住民などの協力が得られることに越したことはないだろう。しかし、あえて修正で加えられるということは、学校での理解を制限する意図と捉えざるを得ない。

つまり、家庭や地域住民その他の関係者が、学校での理解増進に「反対」したら、取り組みが阻害されてしまう可能性があるのだ。これも、「多数派の安心への留意指針」と同様に、特定の個人や団体などから反対が起これば、学校現場は萎縮してしまう懸念がある。

この「家庭及び地域住民の協力」という条文は、教育基本法などで既に用いられている文言から取り入れられているという。

この点について、前述の報道で鈴木教授は「学校教育法の同様の規定は、学校教育を縛るものと解釈されていない」と語っており、LGBT理解増進法においても、学校での理解を広げる動きに介入できるものではないことが指摘されている。
同様に、参議院内閣委員会でも、法案提出者の一人である公明党・國重徹議員は「保護者の協力を得なければ取り組みを進められないという意味ではありません」と答弁している点を確認しておきたい。


【現場を萎縮させないために】
前述のような懸念に対して、どんな対応が必要になるだろうか。
この法律をもとに、今後、政府は「基本計画」や「指針」を作っていくことになる。その際、性の多様性に関する理解を広げたくない議員や団体が、法の適切な解釈を無視してでも「多数派の安心に留意」「家庭や地域住民の協力」といった点を
口実に施策を制限しようとすることが考えられる。

基本計画や指針が策定される際、その審議の中で性的マイノリティ当事者が参加し、当事者の声が反映されるか、さらには特定の声だけではなく、エビデンスやデータに基づく議論がされているか、特に自治体や学校現場の施策を萎縮させるものになっていないかを注視する必要がある。

連合がすでに事務局長談話で表明している通り、労働者や使用者なども参加する公開の場で、「不安」といった観念的な議論ではなく、現場の具体的・実務的な視点からの議論が必要になるだろう。

さらに、前述の「多数派の安心に留意」「家庭や地域住民の協力」といった文言を使って、直接的に自治体や学校へ理解を広げないようはたらきかけが行われる可能性も十分あり得る。これによって自治体や学校が萎縮しないよう注意しなければならない。

大きな危機感を持つ必要はあるが、一方で希望もある。
これまでは何も法律がないからこそ、学校や企業、自治体等での現場の努力で取り組みが進められてきた。
時代の大きな流れを見ると、確実に社会は性の多様性を尊重する方向へと進みつつある。だからこそ、今後この法律を活用できるか次第で、さらに良い方向へと社会を進められる可能性もある。

2000年代には性教育やジェンダー平等に対するバックラッシュが起き、特に学校現場は萎縮、現在でも適切な性教育が阻まれている。こうした事例に学びつつ、現状の社会の流れを止めないために、一人ひとりが行動し、それぞれの現場で取り組みを広げていくことが重要だ。

さらに、性の多様性をめぐる理解を阻害しようとしてくる動きの背景に、どんな団体や組織、政治的な動きがあるのかという点を明らかにしていくことも大切だろう。


【すでに動きつつある反動】
すでに、トランスジェンダーへのバッシングを利用した、理解を阻害するための動きは起きつつある。
今回の法律が審議された参議院内閣委員会では、与党側から「女性の安心安全を守る女性専用スペースを確保」するための議員連盟を立ち上げることが公言されている。

しかし、まさに内閣委員会でこのような発言をして、議員連盟の発起人にも名前を連ねている自民党の山谷えり子議員は、「性教育」バッシングの急先鋒であり、「ジェンダー」という言葉にも反対していた人物のひとりだ。選択的夫婦別姓にも反対し、反LGBTQの動きを展開する旧統一教会や神道政治連盟から応援を受けていることも指摘されている。
内閣委員会で山谷議員の隣に座っていた、前述の議員連盟の発起人の一人でもある衛藤晟一議員は、経口中絶薬への反対の
要望書を政府に提出している人物だ。

こうした顔ぶれの点から考えても、人口1%にも満たないトランスジェンダーを排除しても、「女性の安心安全」が守られないことは明らかだ。

群馬大学の高井ゆと里さんはTwitterで、「トランスジェンダーを『問題』化したい多くの人たちの狙いはトランスジェンダーそのものにはない」と指摘している。「性と生殖をめぐる健康と権利、LGBTQの権利回復、包括的性教育…幅広いイシューをまとめて後退させるための足掛かりとして、まだ社会の知識が追い付いていないトランスが使われているだけ」だと。

『#なんでないのプロジェクト』代表、『Woman7』共同代表の福田和子さんは「今必要なのは、トランスジェンダーの人たちに対する差別でしょうか。絶対に違うと思います」「本当に性暴力を防ぎたいと思うのならば、このLGBT理解増進法案ではなくて、性犯罪の刑法改正に尽力すべき、みんなで戦うべき」と語っている。

14日、ウィメンズ・アクション・ネットワークは「LGBTQ+への差別・憎悪に抗議するフェミニストからの緊急声明」を発出。SNSを中心に不安を煽る言説によって「モラルパニック」が起きているとし、「女性の安全がトランスジェンダーの権利擁護によって脅かされるかのような言説は、トランスジェンダーの生命や健康にとって極めて危険なものになりかねません」と言及している。

さらに、「女性の安全と権利を求めてきたフェミニズムは、シス女性だけの安全を求めるものではありません。言うまでもなく、トイレや公衆浴場はだれにとっても安全であるべきです。女性の安全が十分に守られていない現状が問題であり、性暴力被害者への支援や性暴力を防ぐための法整備が強く求められます」と指摘した。


【手を取り合い、繋がること】
今後も保守的な家族観や国家観を守るために、あえてトランスジェンダーを標的にしたバッシングは続くかもしれない。
その際、社会に対していかにトランスジェンダーのリアルを伝えられるか。社会の知識が追いついていないのだとすれば、そこを埋められるか。不安を煽り、分断させられること自体に抗えるか。すべての女性の安全を守り、同時に性の多様性を尊重する社会の流れを止めさせないかは、LGBT理解増進法を前提に、今後も適切な取り組みを広げられるかにかかっている。

自治体、企業、学校など、それぞれの現場での理解を広げ、反対の動きが起きたとしても萎縮しないよう、手を取り合っていくことが今後より一層求められる。

これまで「ダイバーシティ」を掲げながら、人権や政治、制度について語ってこなかった人や企業も、良かれ悪しかれ法律ができたことを契機として、今こそ立ち上がり、繋がって欲しいと思う。

LGBT理解増進法ができても、当然だが差別がすぐになくなるわけではない。今後も「差別禁止法」や「婚姻の平等(同性婚の法制化)」、そして「性別変更に関する非人道的な要件の緩和」など、性的マイノリティの命や尊厳を守るための法整備が求められることは変わらない。


記事に関する報告
松岡宗嗣
一般社団法人fair代表理事
愛知県名古屋市生まれ。明治大学政治経済学部卒。政策や法制度を中心とした性的マイノリティに関する情報を発信する一般社団法人fair代表理事。ゲイであることをオープンにしながら、HuffPostや現代ビジネス等で多様なジェンダー・セクシュアリティに関する記事を執筆。教育機関や企業、自治体等での研修・講演実績多数。著書に『あいつゲイだって - アウティングはなぜ問題なのか?』(柏書房)、共著『LGBTとハラスメント』(集英社新書)、『子どもを育てられるなんて思わなかった - LGBTQと「伝統的な家族」のこれから』(山川出版社)など
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LGBT法「誰のための法なのか」当事者ら、成立に不満と心配!  内閣員会の田村智子氏と木村英子さんの質疑に希望!
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生きづらい現実を乗り越え、虹の橋を渡っていきたいと思います。

『アンパンマンたいそう』、勇気と希望がもらえ元気になります。

くじけそうになったら
いいことだけ いいことだけ 思(おも)いだせ
そうさ空(そら)と海(うみ)を越(こ)えて 風(かぜ)のように走(はし)れ
夢(ゆめ)と愛(あい)をつれて 地球(ちきゅう)をひとっ飛(と)び
アンパンマンは君(きみ)さ 元気(げんき)をだして
アンパンマンは君(きみ)さ 力(ちから)のかぎり
ほらキラめくよ
君(きみ)はやさしいヒーローさ
だいじなもの忘(わす)れて

LGBT法「誰のための法なのか」、毎日新聞の記事です。

LGBT法「誰のための法なのか」 当事者ら、成立に不満と心配
6/16(金) 21:06配信 毎日新聞  https://news.yahoo.co.jp/articles/4b6f680e4c450c74dcc1f65eb9be8fcf7bbc60d6

16日成立した、性的少数者に対する理解を広げるための「LGBT理解増進法」。度重なる修正に当事者には「法律によって逆に差別を助長しかねない」との懸念が残る。性的少数者の差別や偏見をなくすため、どのように実行力を高めるかが課題となる。

【LGBT法案】与野党3案と修正案の違い
 「『差別を許さない』との文言を入れて、一歩踏み出そうと始まった法律だったはず。議論が進むにつれて、多数派のための法律かと問いたくなるほど内容が後退した。結局、政治家は声の強いところにしかなびかないのではないか」
 性的少数者を支援する福岡市のNPO法人「カラフルチェンジラボ」代表理事、三浦暢久さん(45)は新法に不満を隠さない。

 新法は合意形成の過程で修正が重ねられ「全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意するものとする」との条文も加えられた。学校での性の多様性に関する教育も「家庭や地域住民の協力を得る」としている。
 性の多様性を祝う「九州レインボープライド」を運営し、学校や企業で性的少数者の理解を広げるための講演などを続ける三浦さんは「一部の人が反対すれば(路上で)パレードができなくなったり、学校での講演ができなくなったり、活動が抑制される恐れがある。条文はその口実を与えかねない」と心配する。

 性的少数者のカップルを公的に認める佐賀県の「パートナーシップ宣誓制度」に基づき2021年9月に宣誓し、男性パートナー(47)と暮らす浦川健二さん(38)は「私たちは特別扱いされたいのでなく、誰もが生きやすい社会になってほしいだけ」と強調する。

 浦川さんのパートナーは「パートナーシップ制度の導入後、佐賀で反対運動や混乱はなく、全国的にも性的少数者への理解は広がりつつある。国が動かないから地方が制度を導入するなどして動いてきたのに、余計に混乱が生じかねない。理解を広げることが阻害されるのであれば、法律はないほうがいい」と訴える。

 東京都内で同性パートナーと0歳の子供の3人で暮らすひとみさん(43)=フルネームは非公表=は新法成立を「一歩前進」と一定の評価をしながらも、複雑な思いを抱える。
 脳裏に浮かぶのは1年ほど前、パートナーの出産のため産婦人科を探した時のことだ。ある病院から「病院としては断らないが、同部屋の方に配慮してほしい」と受け入れに難色を示された。「『一般の人の理解が進んでいない』という理由で断り文句に使われる可能性がある」と懸念する。

 16日の参院本会議では、採決時に自民党議員3人が退席した。「当事者に対する真摯(しんし)な姿勢がみられない。この問題について触りたくないという思いの表れだと思う。想定内だけどショックだ」と受け止める。
 ひとみさんは約5年前、福岡市内に住む70代の母親にカミングアウトし、現在は理解が進まない現状を変えようと親子で講演活動をする。小中学校で講演すると、子供から「相談できない」「親にも言えない」とSOSを訴える手紙が届くこともある。「カミングアウトできず自死を考えるほど苦しむ子供もいる。国全体で理解増進させる取り組みが必要だ」と強調。その上で「新法成立はゴールではなくスタート。同性婚の法制化や教育環境の整備につながれば」と語気を強めた。【竹林静、城島勇人】


15日の参議院の内閣員会での共産党の田村智子さんの質疑とれいわの木村英子さんの質問には、すごく励まされました。ぜひ動画見てください。



https://www.youtube.com/watch?v=I2jVMIFstp8

LGBT法4党案可決 田村智子氏批判「これが少数者守る法か」2023.6.15

#田村智子 議員の質問と反対討論 参院内閣委員会 LGBT法案=LGBTQ+の方々への差別禁止の必要性 LGBT法連合会の神谷悠一氏にも質問 性的少数者への差別解消へ 法整備は一刻を争う(田村智子氏に参考人)





https://www.youtube.com/watch?v=LdCrtSRNS08
木村英子の国会質問!参議院 内閣委員会 「LGBT理解増進法案」に反対! (2023年6月15日12:40頃~)






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参議院内閣委員会で後退したLGBT差別増進法案といっていいLGBT理解増進法案可決 
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外国人差別の入管法改正、わたしは難民でないので関係ないと思った。
LGBT差別のLGBT理解増進法、わたしはLGBTでないので関係ないと思った。
人権が抑圧されあなたの自由が奪われる憲法改正も同じ構図で行われると思う。
気が付いてほししい。今声をあげて怒る時だ!当時者だけの問題ではないのだ。




参議院内閣委員会で後退したLGBT差別増進法案といっていいLGBT理解増進法案可決。本日本会議で議決の予定です。


LGBT法、16日に成立 性的指向尊重、多数派配慮に懸念

2023/06/15
LGBTなど性的少数者への理解増進を目的とした法案を可決した参院内閣委=15日午後
 LGBTなど性的少数者への理解増進法案は15日の参院内閣委員会で、自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数により可決された。16日の参院本会議で可決、成立する。性的指向にかかわらず人権を尊重し、不当な差別はあってはならないとの基本理念を規定。一方、与党と維新、国民民主4党の修正で「全ての国民が安心して生活できるよう留意する」と多数派に配慮する条項を設けた。当事者団体は「差別の温存だ」と懸念し、立憲民主、共産両党などは法案に反対した。

 与党修正案は法律の目的として、性的指向の多様性に関する国民理解を増進し、多様性を受け入れる寛容な社会の実現を掲げた。
 21年に与野党で合意した「性自認」の表現は「性同一性」とも訳される英語の「ジェンダーアイデンティティ」に改めた。ただ各地の自治体は「性自認」を用いた差別禁止条例を制定済み。混乱を招きかねないとの指摘が出ている。

 多数派配慮の条項では、政府が運用に必要な指針を策定するとした。性的少数者が本来得られる権利まで抑制される恐れが懸念されている。         © 一般社団法人共同通信社


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今回の委員会、自民党の質問者、日本会議の有村治子と山谷えり子の2枚ヘイトコンビ。ジェンダー平等に反対のお二人登場。さんざん女性蔑視の発言を続けたお二人が、トイレやお風呂などの問題を取り上げて「女性の権利」の侵害を許さないといったことを訴えます。

あと自民の参考人に滝本太郎。維新の参考人に森奈津子のSNSでは、トランスヘイターとして有名な二人登場。的はずれとヘイト、ひどい内容でした。



【内閣委員会の質疑参考人は以下の通り】

自民 山谷えり子議員の質問に 滝本太郎氏
維新 高木かおり議員の質問に 森奈津子氏
共産 田村智子議員の質問に 神谷悠一氏
れいわ 木村英子議員の質問に 松岡宗嗣氏
国民 上田清司議員の質問に 細田智也氏 twitter.com/jcp_kokkaiinfo…


自民や維新のヘイト的な質疑に対して、共産党の田村智子議員と、神谷悠一氏の討論、木村英子さんと松岡宗嗣市の討論、神谷悠一氏の討論、木村英子さんと松岡宗嗣市の討論、すばらしく、励まされるものでした。立民の打越さんの質疑とともにぜ視聴してほしいです。
神谷悠一氏と松岡宗嗣氏の討論は、国会ではじめての本格的な当事者の意見だったのではないでしょうか。


以下動画よりご覧あれ。私が言いたいこと、それ以上のこと、そのまま行ってもらっています。
【立憲民主党打越さくら 参考人連合井上参考人  38分過ぎから 役30分】

【日本共産党田村智子 神谷悠一参考人 2時間5分ぐらいから 約30分 】

【れいわ新選組木村英子 松岡宗嗣参考に 2時間37分ぐらいから 約30分 】



https://www.youtube.com/watch?v=inJ0MO1hv50



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この委員会の可決後、LGBT差別法案反対の新宿西口での緊急集会です。
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https://www.youtube.com/watch?v=2IMiN-NwcGQ
【LIVE】LGBT差別増進法に抗議する緊急大集会 新宿から生中継







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